2019年5月21日火曜日

藤木庄五郎さん 生物多様性ビジネスの最前線 2019年5月16日





藤木庄五郎さん 
1988年生まれ.20123月京都大学農学部卒業.
20173月京都大学大学院博士号(農学)取得.
20175()バイオーム設立,代表取締役.
https://biome.co.jp/

藤木さんは京都大学農学研究科の博士課程において,衛星画像解析により生物多様性を定量評価する研究に取り組んでいた.そのため2年にわたりインドネシア・ボルネオ島の400カ所を超える地点で自ら植生調査を行った.調査中,パームヤシのプランテーションのために360度見渡す限り熱帯雨林が皆伐された風景に圧倒される.経済の力の恐ろしさと人類の生存の危機を直感した.研究成果は学会でも高い評価を受けたが,博士取得後研究者ではなく起業の道を進んだ.生物多様性を守るには経済を動かす仕組みが必要と考えたからだ.
人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされていると警告する報告書を「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は先日発表した.生物多様性保全は国連の環境部会にもなっているが(UNCBD),排出権取引などの気候変動対策の進歩に対し,生物多様性保全には有効な制度が構築できていない.その一因として生物多様性が定量評価できていないこと,認証できていないことを藤木さんは問題視している.大規模開発の際には環境アセスメントが行われる.その際に希少な生物が見つかると調整がなされるが,そもそも計画が立ってから環境アセスメントが行われるという順序にも問題があると藤木さんは考える.日本,世界津々浦々の生物多様性があらかじめ定量的に把握できていたら開発行為そのものが変わる可能性を持つ.そのために生物多様性のビッグデータを構築することをバイオーム社は業務とする.
2019年にバイオーム社が公開したスマホアプリ,バイオームは生き物や植物を写真に撮り,その場所を登録することでポイントを獲得するリアルな生き物版のポケモンである.分からない生き物は写真を撮るとアプリが自動判別してくれる.一方でバイオーム社側のデータベースには各地の生物の情報が蓄積され,時間を経るとともにその情報は豊かになっていく.情報の収集元はアプリに限らず既存の生物調査結果やインターネット空間の全域に及ぶ.
バイオーム社は20175月に志を共にした京大農学部・農学研究科の仲間と起業した.技術開発はすべて自分たちで行ってきた.会社の理念に共鳴して社員が増えており,2018年には経済産業省よりJ-startup企業に認定された.
自動画像認識が写真だけでなく動画に進化すれば生物の調査の定量性が大きく変わっていく.定点カメラ,ドローン,水中ドローンを活用して生物を広域で調査できるようになる.ビッグデータだけでなく,生物調査のソリューションを提供していくことをバイオーム社は目標としている.

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長野の感想
とにかく藤木さんの目標の高さに驚愕し,感銘を受けました.近未来の生物資源管理の姿を垣間見させてもらいました.バイオーム社の活動を通じて生き物好きの人々が増えてくれればよいなと切に思います.

2019年1月16日水曜日

井筒耕平さん:木質バイオマスをこの社会でどう生かしていくか


第2回バイオエコノミー研究会議事録
2018年11月6日

木質バイオマスをこの社会でどう生かしていくか
井筒耕平さん 株式会社Sonraku代表取締役
井筒さんは1975年生まれ.株式会社sonraku代表取締役.名古屋大学で環境学博士号を取得後,再生可能エネルギー導入のコンサルタントとして働く.岡山県美作市での地域おこし協力隊を経て村楽エナジー株式会社を2012年に設立.樹木などの有機物を原料にしたバイオマスによるエネルギーの供給やコンサルティング,ゲストハウスの経営など多方面で活動されている.


お話の概要

起業の動機
コンサルタント業を辞めて地域おこし協力隊となったのは,現場のしんどさがわかる実践者となりたかったから.現在は国がエネルギー基本計画を作成しているが,もっと地域で考える必要があると思っている.現在農山村への主な資金流れは交付金や年金だが,これらがエネルギーが購入に費やされており,つまり農山村は消費者化している.逆にものやサービスを都市に供給するビジネスこそが必要で,エネルギーはその手段の1つと考えられる.

FITの問題点
バイオマスは主に発電と業務用熱利用がされている.近年大規模バイオマス発電が乱立したのは固定価格買取制度(FIT)が理由.沿岸に多く立地しているのは輸入バイオマスを利用するためである.発電規模5MWだと5万トンの木材が必要で輸入に頼らざるを得ない.FITは本来地域で未利用の木材の利用促進を趣旨としたはずなのに輸入バイオマスによる発電が進んでいるのは政策的な問題である.間伐材(未利用木材)による発電の買取は40円/kWh.これに対し一般木材による発電の買取価格は24円/kWhである.問題点は以下の通り.
1.製材端材が一般木材枠になので売電単価が安く利用が進まず.単価の高い未利用木材枠を狙って山から切り出した丸太がばかりを破砕してチップやペレットにされており、本来利用すべき製材端材の利用が進みづらい.
2.海外から輸入された木材がやはり一般木材として扱われること(パーム椰子がらなど高カロリーで使いやすい).
3.熱供給に対するインセンティブがない.木材は燃やしてもエネルギーへ転換できるのは2割.残り8割の熱を利用促進する制度的枠組みがない.ドイツでは2012年から熱電供給でないとFIT対象外である.

バイオマス利用の進むべき方向
住宅へのバイオマス熱供給を目指すべき.ヨーロッパでは住宅へ熱供給がバイオマス利用のの38%を占める.一方発電は6%を占めるだけ.個人的には農山村に集合住宅を増やしそこでのバイオマス熱供給を目指すべきだと思う(個人宅より高効率).再生可能エネルギーの中でも太陽光や風力とバイオマスには大きな差がある.太陽光パネルは大量生産が可能で限界費用がゼロに近い.一方バイオマスは大量生産できず,発電方法も地域毎に個別で前近代的.ヨーロッパでは燃料の大量生産まではできている(チップ化,乾燥).

西粟倉村
西粟倉村は面積が57km2,林野率95%,人工林率80%(スキ,ヒノキ)で人口1,500人の小さな自治体.自治体職員が30名程度.NPO,ベンチャー的なスピード感がある.自治体職員として地元住民と移住者を公平に扱ってくれる.2006年から2018年までの12年で33社が起業.社長のうち2割ぐらいが地元の人.起業者は事業として結果を出すことが最優先課題であり,地域への貢献(地域資源の有効活用,合意形成への参加,地域,定住)を求められわけではない.

株式会社sonraku
正社員7名,従業員21名.バイオマス事業と宿泊業(西粟倉と豊島)を営んでいる.どちらも地域のニーズに応じて始めた.

Sonrakuのバイオマス事業.
西粟倉村では村役場が委託方式により林業経営を行っている.施業でA,B,C材が出てくる中でC材の利用法としてバイオマス事業が始まった。4mのC材から1mの薪を年間1000トン作っている。熱供給が事業内容でボイラーなど施設への出資は自社では行っていない.現在はバイオマスの熱利用のみを業務としている.発熱量を計器で計り,課金している.材料の丸太は,そのまま1年乾燥させて含水率40%にする.薪にしてからラックで乾燥させ最終的に含水率が30%程度となる.温泉での熱供給は灯油と薪を併用しているが,薪代替率は80%を達成している.冬積雪により薪の乾燥が十分でないことで出力が落ちる.西粟倉では地域熱供給システムの熱供給も始めた.

バイオマス事業の課題
バイオマス発電プラントが大量のC材を買いつけるので,仕入れ値が高くなってしまう.一方熱供給は灯油と競合するので売価は発電の1/4にしかならない.Sonrakuの経営においてバイオマス事業が中心にもかかわらず収益への寄与が小さい.積雪と低温で乾燥が進まない冬季の運用が厳しい.

これからやりたいこと
西粟倉における住宅の断熱高気密化と再エネ化,集合住宅におけるバイオマス熱利用,木質バイオマスガス化発電,新電力,ローカルベンチャー育成に取り組んでいきたい.


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長野の感想
Sonrakuの事業の多様さは井筒さんの実践者としての姿勢を体現している.熱供給と利用者双方の観点を持つ会社だからこその独自の視点を持っておられた.お話からバイオマスの利用は地域によって個別のデザインが必要であり,人手を要することがよく分かった.地域の雇用創出とういう観点では,非常に効果が高いともいえる.エネルギーセクターは安定供給が求められる上に化石燃料との価格競争が激しいため日々のご苦労は大変なことと思った.地産地消が我々が素直に思うような合理性を持つためには,化石燃料の価格が現在まだ安すぎるともいえる.一方FITによる大型バイオマス発電はバイオマスの潜在力を十分生かしているとはいえず,かつ補助金により低級間伐材の市場を歪めている点は問題である.

2018年6月15日金曜日

ノルウェー


ノルウェーは日本とほぼ同じ大きさの国土(38万平方キロ)を持ち国土は南北に3000kmと非常に長い.その国土に人口は500万人である.農地面積は国土の3%と非常に小さい.一方で森林資源に恵まれている.ノルウェーは1970年代に北海油田の採掘が始まるまで,欧州でも最貧国の1つであった.木材,海産物(たら)などが主な輸出品だった.20世紀に入りダム建設による水力発電量を増やすことで,北欧はパルプ,非鉄金属など,電力消費量の多いセクターにおいて輸出国として台頭する. 以下外務省のページから(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/norway/data.html) ノルウェーは,石油・天然ガスを生産(合計:年産約14億4,500万バレル),欧州諸国を中心に輸出しており,GDPの約15%,輸出(サービスを除く)の約50%を占めている。豊富な水資源を利用して(国内電力の95%は水力発電),電力を多消費する加工産業(アルミニウム,シリコン,化学肥料)が盛ん。また,水産業がGDPに占める割合は2%程度と小さいが,水産物輸出は(商品輸出の11.9%),石油・ガスに次ぐ輸出品目となっている。ノルウェー大陸棚の未発見の石油・ガス資源は推定埋蔵量の43%とされており,長期的には,石油・天然ガス輸出に依存する経済構造からの脱却が課題。比較優位のある分野における研究開発や技術革新に,限られた資源を投入して国際競争力を強めていく方針(データは全て2016年)。

2017年4月25日火曜日

Bioeconomy


Global bioecomoy summit (25-26 Nov 2015, Berlin)の報告より http://www.jba.or.jp/jabex/pdf/2016/Global_Bioeconomy_Summit_2015.pdf 共通項としては地球環境へ配慮しつつ世界の食糧問題を解決し、自国の産業を活性化し経済を潤すためにバイオ資源とバイオテクノロジーをどのように活用していくか、という観点が盛り込まれている。 バイオエコノミーという言葉は1997年にアメリカ科学振興協会が定義したことに始まるものと言われている. 基本的には脱化石資源で既存の経済活動を置き換えて地球の持続性を保つための活動である 主な書籍 The Bioeconomy to 2030: designing a policy agenda(2009)OECD National Bioeconomy Blueprint(2012)US 日本の施策として農林水産省が進めているバイオマス戦略が合致する German Bioecomoy Council 先進国としてはカナダBioindustrial Innovation、Sustainable Chemistry AllianceのMurray McLaughlin氏よりカナダのバイオ エコノミーのクラスターとしてSarnia、Thunder Bay、Drayton Valley、Winnipeg、Saskatoon、Victoriacilleの紹介があっ た。それぞれのクラスターに教育、バイオマス、二次産業が備わっているが、解決すべき課題として、税金、研究、投資、気候、 健康の分野が設定されている。 EU European Forestry InstituteのMarc Palahi氏からは木材の利用において現在では14階建ての建物を作ることもで き、仮にコンクリートから木材に代替した場合、28%のプライマリーエネルギー抑制、45%のCO2発生抑制に貢献すると述 べた。 米国コロンビア大学Earth InstituteのJeffery Sachs氏からは世界の持続性実現に向け、以下7つの課題解決のための施 策を推進すべきであると提案された。 ①世界人口の1/7(10億人)は飢餓にさらされている。特にタンパク質の供給が必須である。②世界で20億人が飢餓以 外の栄養失調にさらされている。10億人のビタミン・ミネラルが欠如しているが、その一方では10億人が肥満である。肥満 は糖尿病などの代謝異常をもたらす。③貧困について対策が必要である。貧しいと尊厳までが損なわれる。④農業が引 き起こす環境問題。持続性のない農業では、窒素肥料、メタン発生、森林の伐採、水資源の枯渇、防虫剤の利用など、環 境に悪影響を及ぼすことがある。⑤気温の上昇による水害、海面の上昇。⑥バイオ燃料生産による食糧の減少。⑦ヒトの 健康、マラリアなどの病気。 ドイツFederal Ministry of Food and Agriculture のRobert Kloos氏からはバイオエコノミーはドイツにとってはエネルギーと工業原料の代替方法の開発が主目的であるが、世界においては健康と食の充足も含めるべきであるとされていること、例えば、Global Forum for Food and Agriculture 2015においては、バイオエコノミーの重要な役割について国際連合食糧農業機関(FAO)と世界銀行が言 及し、途上国の援助としてはエネルギーやバイオ原料よりも食糧にプライオリティーがあるべきとの内容が確認される

2014年1月8日水曜日

1月7日日経のちょっと気になる話

Kahn Academy
縦軸に1人の女性が生涯で生む子供の数,横軸に国民の年齢の中央値をとると,国の台頭,成長,成熟が一目でわかる.
高温ガス炉は冷却材に水にではなく,ヘリウムガスを用いる.電気とともに高温の熱も作れる.水素の製造などに 活用が可能.非常時の緊急停止が安全.5万キロワット級.
熱電発電.従来のゼーベック効果にかわり,スピンゼーベック効果を利用したもの.電子が移動するかわりに電子の磁石の性質(スピン)が変わって電気が生じる.太陽光発電の2倍の効率.

2012年9月13日木曜日

9月10日の棚田調査

稲刈りが済んで秋の気配も漂う田んぼに10時前に到着した.

今回に気になったのは3つのため池の違い.生態系が全く異なる.

まず上の池は林の中に存在し,ミズニラ?など複数の植物が繁茂している.ここでは7月の調査でもイトトンボの羽化が確認されている.

真ん中の池はこれに比べると砂漠のようで,水の中を見ても何も生えていない.林から出たところに池がある.ただしこのような池は周囲の圃場整備をしたところでは多くみられる.降雨時に激しく水が撹拌されるため植物が繁茂しにくいのだろうか.水は土色に薄く濁っている.

下の池はジュンサイ,ヒルムシロなどが繁茂する.うちの水田にある小さな藻もいた.水の中は浮草の茎や根がジャングルとなっており,小さな生き物も捕食者から身を隠しやすそうである.ジュンサイ,ヒルムシロは貧栄養の環境に適応している.ヒルムシロは7月に可憐な花が咲いていた.そして今日もまだ咲いていた.なんと花期の長いこと.この池は水が流れ込むのではなく,湧いてくるのかもしれない.

畔刈りは7月はじめと9月上旬の稲刈り前のみの2回のようである.刈った草を片付けるわけでもない.水路のまわりは希少植物に配慮して草が残されている.

本日見かけたトンボはギンヤンマ.下の池では交尾したものが産卵していた.ギンヤンマというが羽元が鮮やかな緑色で尻尾にかけて褐色になる.メスは青っぽい.ホバリングが上手で角がとれた飛び方をする.ハグロトンボとおぼしきものが刈り跡の上を飛び回っていた.その他アキアカネ,シオカラトンボなど.天気が曇っていたせいか,あまり数は多くなかった.

池の違いがとても気になる.下の池のような環境は人工的に造れるのだろうか

2012年9月3日月曜日

地球生命圏-Jim E. Lovelock


ガイアの科学地球生命圏:Jim E. Lovelock 著者のLovelockは地球化学者であり,NASAの火星生命探査ミッションに参加することで,生命が存在する根拠を深く突き詰めることとなる.そこで得た仮説がガイア説となっている.化学的平衡から考えた場合に説明のつかない地球の大気の組成,海洋の塩分濃度,様々な生命起源の化合物や揮発ガスに思いを巡らせることで,そこに介在してる生命システムに何らかの恒常性を保つシステム,その集合体としてのガイアを発送している.科学的知見がまだ限られる時代に,ダイアログと探究心から生命を大胆にとらえようとしたその姿勢は今の科学者が失いつつあるものである.彼の仮説の多くはその後の研究により正しいと証明されている.30年後の地球科学の現状についても学びたいと思わせた. 以下備忘録.
バナール,シュレデインガー,ウィグナー
生命とは周囲の環境から物質あるいは自由エネルギーを取り入れることによって内的エントロピーを減少させ,その結果変衰した形の物質やエネルギーを排出する開放または持続システムの現象部類に属する.

現在の大気組成が安定状態の科学平衡から想像がつかないものである現実.メタン,酸化窒素,そして酸化大気中の窒素の存在さえも化学平衡から考えると極めて確率の低い事象.この大幅な非平衡が生物の活動によるものという仮説.

ガイア:地球の生物圏,大気圏,海洋そして土壌を含んだ1つの複合体.この惑星上において生命に最適な物理化学環境を追及するひとつのフィードバックシステム.

現在の地球のウラニウムは危険な放射性同位体元素U235を0.72%含む.このことから試算すると40億年前の地殻中のウラニウムは15%近いU235を含んでいたと考えられる.当時は酸素もオゾンも存在しなかったので,強烈な放射線と紫外線に地球はさらされていた.
惑星上の自由水素の存在量が酸化還元程度を決定する.酸化還元力とpHこそがひとつの惑星が生命にふさわしいかの二大環境要因である.火星も金星も自由水素をほとんど失っている.惑星の地表面上が極度に酸化しているため,決して生命を生み出すことができない.生命に必須の元素である水素が宇宙空間に逃げていくと,惑星は不毛になっていく.
過去35億年の間,地球の気候は安定していた.摂氏10度と20度の間であった.その間太陽のエネルギーは少なくとも30パーセント減少している.
初期の生命ロセスにはアンモニア,二酸化炭素,メタンが深く関与.アンモニアの温暖化効果によるコントロール.
生命の酵素活動に必要な微量元素類.これらが循環するシステム.
25億年前までに大気中の酸素が増加.地殻に含まれるすべての還元性物質は酸化されつくした.酸素の増加により大気中のアンモニア濃度が減少.
化学的平衡世界では大気の99パーセントを二酸化炭素が占め,アルゴンが1%となる.海洋の6#%を水が占め,残り35%を塩が占める.残り1.7%は硝酸ナトリウムである.
大気中の二酸化炭素濃度が1%を超えると地表の気温は沸点を超える.二酸化炭素濃度が下がれば加速度的冷凍化が生じる.
酸素レベルが25%を超えると濡れた草木も燃焼し始めたら止まらない.酸素濃度が12%に満たなかったら火が使えない.
対流圏は7マイル上空まで.大気の重さの1/3を占める.成層圏は高速で風が吹きながら成層化していて上下で交わることはない.成層圏では上にいくほど温度が高くなるので対流が起きない.紫外線は酸素を原子に分解し,酸素の再結合過程でオゾンが生成する.
メタンと酸素の関係.大気中に出たメタンの酸化に大量の酸素が消費される.メタン生産がないと,大気の酸素濃度は1万2千年で1パーセント上昇してしまう.
亜酸化窒素の二つの役目.酸素量調節と成層圏でのオゾンの調節.
アンモニア.降雨のpHを8に保つ働き.
海は重量で3.4%の無機塩類を含み,その90パーセントがNaclである.塩分が6%を超えると,生命活動は停止する.雨や河川によって海に流れ込む塩の量は8千万年ごとに現在の海洋塩分総量と等しくなる.
プランクトンの活動は日光のあたる海洋表層数百メートルに限られる.
珪藻類はオパールを骨格としている.オパールは二酸化ケイ素(シリカ)が宝石状になったもの.死んだ珪藻類の死骸は海底に堆積して堆積岩となる.海洋に流入するケイ素が増加すれば,珪藻は増加.減少すれば珪藻も減少.海中のケイ素は常に欠乏状態.珪藻が死ぬときに塩分も取り込んで沈殿するとすると,塩分コントロールの可能性.干潟がそうして形成されたシステムのとの仮説.
硫化ジメチル.硫黄サイクルを辿ると,陸上で分かっている全ての硫黄源からの流入よりも多い量の硫黄が河川を通じて海に供給されている.海水中の硫酸イオンから硫黄を抽出して硫化ジメチルに変える海藻,Polysiphonia fastigiata.硫化ジメチルは揮発性で芳香がある.
いわゆる汚染物質の多くは自然界に存在している(生物起源である).一酸化炭素はメタンの酸化により毎年10億トン発生している.二酸化硫黄,ジメチル水銀,ハロカーボンのいずれもが自然の出所をもっている.
地球における生態学的混乱が北半球の都市部で起きているという誤解.炭素サイクルが20パーセント,窒素サイクルが50%,硫黄サイクルは100パーセント以上も増加.最も大きな汚染源が人口密集地域であるという考えは,想像がしやすいが,農業地域こそがそこに当てはまる可能性.
ヨウ化メチルは海藻により海から陸へヨウ素が還元される媒体となる.
海洋農業により,海藻の生態系が単一化することの危険.
「死はアイデンティティの代償である」生物を見れば個体が死んでも種は継続していく.
ガイアの特質 1.すべての地球上生命にとって諸条件を最適にしようとする傾向.  それぞれの生物種は程度の差こそあれ,環境を修復して自らの繁殖率を最大にしようとするとする.ガイアはこれら個々の生物種の行動の集大成.
2.ガイアはその中核に重要器官をおさめ,消耗性および余分な器官は外周にある.人間の惑星へのインパクトはそれをどこで発生させるかに深く関係している.  北緯,南緯45度を超える地域は氷河期に現在の地球環境問題を遥かに上回る環境インパクトを受けながら地球の恒常性は失われなかった. ガイアの体内器官は地表ではなく,沼や湿地,大陸棚の泥の中に隠されている可能性.
3.ガイアの反応は,サイバネティックスの諸規則にのっとるが,中でも時間定数とループ・ゲインが重要.バランスが崩れてから改善されるまでに時間がかかり,その間慣性で状況がさらに悪化することがありうる.ホメオスタシスを超える破壊がなされた場合,バランスを取るのは人間の役割となる.
社会が都市化していくにつれ,生物圏から都市の知恵袋に流れ込む情報は,地方の地域共同体,あるいは狩猟集落に流れ込む量に比べて減少した.
都会の科学者によるモデル操作の限界.現実の世界でじかに集められたという重要要素に欠けるきらい.
情報は力なり.
我々が生物学的な役割をはたして,家をかまえ,家族を養うことの報酬の一部には,根本的な満足感が含まれる.我々の本能の中にはまた,周囲の他の生命形態との関係において,最善の役割を認知するというプログラムも組み込まれているのかも知れない.この本能に従って行動すれば,正当と思われるものは同時に見た目もよく,われわれの美的感覚のもととなるさまざまな快感をひきおこすのかも知れない.人間の本能のうち,生存を促すもうひとつの可能性として考えられるのは,個人個人の美しさにおける適合性と均整にともなうものである.われわれの肉体は細胞の共同体として成り立っている.美もまたエントロピーの低下,不確実性の減少,そしてあいまいさの度合いの低減に結びついていることがわかる可能性.
地球の占有者としてではなく,世話役としての人間の位置づけ.