2010年2月26日金曜日

フィギィアに想う

フィギィア女子が終わった.キムヨナの演技は完成型だった.だがそれにも増して心を揺さぶられたのは浅田真央の演技だった.高橋の演技にも共通したのだが,彼らはオリンピック時点での自分にできることを綺麗に見せるのではなく,何かその先にあるべきものに向かって,目の前の敵に勝つのでもなく,金メダルをゴールとせず,もっとそれより先を走る自分の魂を追っていた.上村愛子もそうだったが,95%を否定する姿勢というのだろうか,泣けてくるほど不器用で健気である.
いろんなものが重なって見えてくる.職人魂,求道,グローバルな「演出」への無頓着,Pioneer精神.それでいいのだと思う.本当に恰好良い.人間の価値はやっぱり魂の大きさだから.

それに比べると情けなくなるのが政治家の魂の小ささだ.あとはマスコミの魂の小ささ.高校無償化だったら朝鮮学校も無償化せよ.彼らの両親は日本に納税しているのだから.4位に入った長洲未来は生粋の日本人だ.素晴らしい演技をしたのに,どこのマスコミも全く取り上げなかった.アメリカ代表だからだろうか.政治家はバラ色マニフェストではなく,長期ビジョンを示せ!大事なのは魂の限りない成長なのだから.

2010年2月9日火曜日

日高敏隆先生お別れの会

2月5日日高先生のお別れの会があった.宝が池プリンスホテルには900人以上の人が集まり,感じのよい湿っぽくないお別れの会が開かれた.坂田明と山下洋輔の演奏を生で聞けるとは思ってもいなかった.

地球研時代,5年くらいの長きにわたってお世話になった.所長だったので何となく構えてしまい,腹を割ってお話することができなかったが,亡くなってみて自分の人生の師の一人だったと実感した.日高先生はエッチでチャーミングでとぼけていて研究所の誰からも慕われた.その悠然とした感じは,物事論理でつきつめたってそう分からないこと,時間をかければ次第に分かってくることを生物との付き合いから知りつくした日高先生だからこそであったのだと今になって思う.会の後ろに陳列された膨大な著書に圧倒された.「使命感ではなく,楽しさを求めて科学をやる」.そのことは胸に刻んで後進に伝えていきたいと思う.日高先生ありがとうございました!!


水科学技術のイノベーションとは?

先週2月5日に「水科学技術のイノベーションとは?」というワークショップが開催された.水資源,国土,都市上下水道,気候の専門家が集まった横断的なワークショップで大変勉強になった.一番大事と思ったのは,「技術と戦略,オペレーションのバランス」だろうか.以下備忘録

セッション1 水と気候変動

温暖化被害年17兆円?
防災
江守
 水文へのデータ提供
 温暖化影響評価の一分野としての水
 温暖化は大きな枠組みで考えないといけない
 持続可能性の複合問題
 シナリオアプローチ(第5次IPCC)経済評価も入れる
 削減対策の効果の定量評価
 不確実性の処理をどうするのか
石田(ATカーニー)コンサルタント
 携帯電話の情報開発と似ている
 社会インフラとして世界共通
 もともと国が担い,民営化
 二つの示唆 
  当初から世界展開を念頭に置く(WCDM)
  (多分Giveの後に儲ける)
  技術開発とオペレーション開発を同時に
   (NokiaとVodafone)
池辺(日経新聞)
 定量から価値判断にいけるのか?
 リスクの落ち着きどころが難しい
   バーチャル・リスク(ないと思われたことが起きる)
   ほとぼりが冷めると資金提供が滞る
   年間死亡率と「未知」「恐ろしさ」のギャップ
  「知識が不確実」で「望ましくない結果の不一致」(温暖化問題)
 
総合討論
 雪氷と地下水
 経済合理性のシミュレーションはスムースなオペレーションに繋がる.
 水の問題についてのリスク評価(池辺さんの「結果の不一致」がネック
 科学者の中立性,意識してバイアスを排除
 水に対する危機感は日本人は希薄
  (水に起因する死者数を考える)
 社会インフラとして(国力として資源)の水
 ダムや用水路(公共事業)に偏らないことが大事
 水戦争がおきるかどうか,水難民がおきるかどうか

セッション2 水と都市インフラ

秋谷 (造水センター)
 淡水化
  海水淡水化 
  かん水淡水化,地下水(化石水の淡水化)
  下水・排水の処理の高度化
  原油随伴水の高度処理 原油の汲み上げに水が多い時80%使われる
 海水淡水化
  蒸発法海水淡水化,多段蒸発法
   スケール析出 硫酸カルシウム
   耐食性
   高温化 
  多重効用法
  低温蒸発法
 膜法海水淡水化
  耐塩素性
  耐圧膜
  汚れ対策(膜洗浄)
  前処理 
  ポンプの高効率化,エネルギー回収
  ホウ素除去
  塩素腐食
 淡水化の今後の課題
  省エネルギー
  低コスト
  濃縮ブラインの影響 
  ハイブリッド化
 環境面の課題
  取水量は造水量の2倍以上
  取水配管への塩素注入. 
  濃縮水
  溶存無機塩の回収

伊藤(京大工学)
  高度浄水処理水の実力
  実際は水道水をそのまま飲む人が少ない!
  高度処理をしてから異臭味対する苦情が増えた!
  満足感を高めるには (Willingness to pay)
    リスクコミュニケーション
    技術開発
  水道の方向性
    塩素を使用してもカルキ臭が出ない処理
    塩素の不使用
  微生物の定量リスク評価
    オランダでは無塩素
    年間感染リスクが10-4以下というのが基準
    Qantitative Microbial Risk Assessment

藤木(下水道)
  急所技術の開発+技術の製品化+技術の普及
  ビジネスモデル+地財マネージメント+国際標準化
  新しい産業+新しいライフスタイル+新しい標準
  水・エネルギー・食糧などの境界領域に機会?
  途上国支援から国益支援へ
  排水からのエネルギー回収
  ゴミ,排水,エネルギー,バイオマス
  水再生技術と農業技術のマッチング
  レーダー雨量計と都市型水害防止のマッチング
  科学技術外交:日本近海の海洋環境の保全
  上下水の国際標準化

セッション3 水と国土

大手(東大農)
  森林水循環 物理循環から始まる.
  問題が起きるから科学技術が必要か?
  すべてのことをは把握できるのか?
  自然に起きていることをつぶさに調べ,説明できる用意
  価値観をもって研究をすることは怖い.
  正しい認識の提供
  あまりに大きな問題に対して一面的な解決しか持ちえていないと信頼性が低下.
  
岸(慶応大学)
  災害のない都市
  問題解決のために学問を目指した.
  市民活動家
  自然と共存する社会(持続可能な社会)
  開発反対
  鶴見川流域における流域計画の推進
  治水,利水,生物多様性,都市問題 
  アジアの流域管理マスタープランを作るべき
  急激な市街化>>総合治水対策
  保水地域,遊水地域,低地?
  河川法ではカバーできない都市計画法で対応
  環境省:生物多様性
  水循環の課題は流域単位.
  3つの課題
    保水地域:森林:土砂崩壊
    遊水池:用地確保に困難.多機能化
    低地対策:沖積地における住み方の提案
  統合管理の知識
      
    

星野(那須土地改良区)
  自助的な土地改良区,歴史性
  発電
  バイオマス
  水のエネルギーについて学ぶ
  1000年の森
  お金のかからない施設管理が大事!
  水はあるものではなく,作りだすもの
  

総合討論  

日本がグローバル化で成功したのは個人が
使うパッケージもの
新幹線,原発などインフラ系はだめ

農業用水の管理技術のイノベーションを
  
Agendaの上で国民の支援がないものはだめ.
例外は産業技術界の支援が受けられるもの.

Agendaと階層化が大事
国民の中で,グローバルなAgendaの中で.

パーツとして面白いものを出せというのが
学術会議の文脈.

もっと市民,広くのニーズをくみ上げて
Agendaを作ってそれに沿って仕事をしていく.

水は新しいAgendaとして出てきにくい.
もっと広い領域の中で論じないと,周りと孤立.
選択と集中の仮説は考えておくべき.
「地域経済」が国内の意外なキーワード.
社会インフラは世界の共通軸.
日本と世界の共通軸は気候変動.

将来像を描く.
見せ方は国民の共感を得やすいように.