2010年2月9日火曜日

水科学技術のイノベーションとは?

先週2月5日に「水科学技術のイノベーションとは?」というワークショップが開催された.水資源,国土,都市上下水道,気候の専門家が集まった横断的なワークショップで大変勉強になった.一番大事と思ったのは,「技術と戦略,オペレーションのバランス」だろうか.以下備忘録

セッション1 水と気候変動

温暖化被害年17兆円?
防災
江守
 水文へのデータ提供
 温暖化影響評価の一分野としての水
 温暖化は大きな枠組みで考えないといけない
 持続可能性の複合問題
 シナリオアプローチ(第5次IPCC)経済評価も入れる
 削減対策の効果の定量評価
 不確実性の処理をどうするのか
石田(ATカーニー)コンサルタント
 携帯電話の情報開発と似ている
 社会インフラとして世界共通
 もともと国が担い,民営化
 二つの示唆 
  当初から世界展開を念頭に置く(WCDM)
  (多分Giveの後に儲ける)
  技術開発とオペレーション開発を同時に
   (NokiaとVodafone)
池辺(日経新聞)
 定量から価値判断にいけるのか?
 リスクの落ち着きどころが難しい
   バーチャル・リスク(ないと思われたことが起きる)
   ほとぼりが冷めると資金提供が滞る
   年間死亡率と「未知」「恐ろしさ」のギャップ
  「知識が不確実」で「望ましくない結果の不一致」(温暖化問題)
 
総合討論
 雪氷と地下水
 経済合理性のシミュレーションはスムースなオペレーションに繋がる.
 水の問題についてのリスク評価(池辺さんの「結果の不一致」がネック
 科学者の中立性,意識してバイアスを排除
 水に対する危機感は日本人は希薄
  (水に起因する死者数を考える)
 社会インフラとして(国力として資源)の水
 ダムや用水路(公共事業)に偏らないことが大事
 水戦争がおきるかどうか,水難民がおきるかどうか

セッション2 水と都市インフラ

秋谷 (造水センター)
 淡水化
  海水淡水化 
  かん水淡水化,地下水(化石水の淡水化)
  下水・排水の処理の高度化
  原油随伴水の高度処理 原油の汲み上げに水が多い時80%使われる
 海水淡水化
  蒸発法海水淡水化,多段蒸発法
   スケール析出 硫酸カルシウム
   耐食性
   高温化 
  多重効用法
  低温蒸発法
 膜法海水淡水化
  耐塩素性
  耐圧膜
  汚れ対策(膜洗浄)
  前処理 
  ポンプの高効率化,エネルギー回収
  ホウ素除去
  塩素腐食
 淡水化の今後の課題
  省エネルギー
  低コスト
  濃縮ブラインの影響 
  ハイブリッド化
 環境面の課題
  取水量は造水量の2倍以上
  取水配管への塩素注入. 
  濃縮水
  溶存無機塩の回収

伊藤(京大工学)
  高度浄水処理水の実力
  実際は水道水をそのまま飲む人が少ない!
  高度処理をしてから異臭味対する苦情が増えた!
  満足感を高めるには (Willingness to pay)
    リスクコミュニケーション
    技術開発
  水道の方向性
    塩素を使用してもカルキ臭が出ない処理
    塩素の不使用
  微生物の定量リスク評価
    オランダでは無塩素
    年間感染リスクが10-4以下というのが基準
    Qantitative Microbial Risk Assessment

藤木(下水道)
  急所技術の開発+技術の製品化+技術の普及
  ビジネスモデル+地財マネージメント+国際標準化
  新しい産業+新しいライフスタイル+新しい標準
  水・エネルギー・食糧などの境界領域に機会?
  途上国支援から国益支援へ
  排水からのエネルギー回収
  ゴミ,排水,エネルギー,バイオマス
  水再生技術と農業技術のマッチング
  レーダー雨量計と都市型水害防止のマッチング
  科学技術外交:日本近海の海洋環境の保全
  上下水の国際標準化

セッション3 水と国土

大手(東大農)
  森林水循環 物理循環から始まる.
  問題が起きるから科学技術が必要か?
  すべてのことをは把握できるのか?
  自然に起きていることをつぶさに調べ,説明できる用意
  価値観をもって研究をすることは怖い.
  正しい認識の提供
  あまりに大きな問題に対して一面的な解決しか持ちえていないと信頼性が低下.
  
岸(慶応大学)
  災害のない都市
  問題解決のために学問を目指した.
  市民活動家
  自然と共存する社会(持続可能な社会)
  開発反対
  鶴見川流域における流域計画の推進
  治水,利水,生物多様性,都市問題 
  アジアの流域管理マスタープランを作るべき
  急激な市街化>>総合治水対策
  保水地域,遊水地域,低地?
  河川法ではカバーできない都市計画法で対応
  環境省:生物多様性
  水循環の課題は流域単位.
  3つの課題
    保水地域:森林:土砂崩壊
    遊水池:用地確保に困難.多機能化
    低地対策:沖積地における住み方の提案
  統合管理の知識
      
    

星野(那須土地改良区)
  自助的な土地改良区,歴史性
  発電
  バイオマス
  水のエネルギーについて学ぶ
  1000年の森
  お金のかからない施設管理が大事!
  水はあるものではなく,作りだすもの
  

総合討論  

日本がグローバル化で成功したのは個人が
使うパッケージもの
新幹線,原発などインフラ系はだめ

農業用水の管理技術のイノベーションを
  
Agendaの上で国民の支援がないものはだめ.
例外は産業技術界の支援が受けられるもの.

Agendaと階層化が大事
国民の中で,グローバルなAgendaの中で.

パーツとして面白いものを出せというのが
学術会議の文脈.

もっと市民,広くのニーズをくみ上げて
Agendaを作ってそれに沿って仕事をしていく.

水は新しいAgendaとして出てきにくい.
もっと広い領域の中で論じないと,周りと孤立.
選択と集中の仮説は考えておくべき.
「地域経済」が国内の意外なキーワード.
社会インフラは世界の共通軸.
日本と世界の共通軸は気候変動.

将来像を描く.
見せ方は国民の共感を得やすいように.

2010年1月30日土曜日

石清水八幡宮にお参り

1月23日に八幡にある石清水八幡宮にお参りした.前厄の厄除開運のためである.昨年夏は城南宮にお参りし,今年は石清水である.京都人らしくなってきた.京阪電車の八幡市駅で降り,これまた京阪が経営するケーブルカーに乗ると3分ほどで男山の頂上に達する.男山は3川合流の平野にあって不思議にぽこっと突き出た山(丘)であり,前から気になっていた.全国の八幡さんの総本山である.歴史は以下のとおり.


Wikipediaより

清和天皇が即位した翌年の貞観元年(859年)の夏、空海(弘法大師)の弟子であった南都大安寺の僧行教が宇佐神宮に参詣した折に「われ都近き男山の峯に移座して国家を鎮護せん」との神託を受けた。これを受けて、その翌年の860年、清和天皇の命により社殿を建立したのを創建とする。「石清水」の社名は、もともと男山に鎮座していた石清水山寺(現在は石清水八幡宮の摂社)に由来する。
以来、京都の北東にある比叡山延暦寺と対峙して京都の南西の裏鬼門を守護する王城守護の神、王権・水運の神として皇室・朝廷より篤い信仰を受け、天皇・上皇・法皇などの行幸啓は250余を数える。
また、源氏をはじめ、足利氏・徳川氏・今川氏・武田氏など、多くの清和源氏が氏神として信仰したことから武神・弓矢の神・必勝の神として崇敬された。 


厄除けの神様として有名で,御神矢を頂き,祈祷してもらうのが定番である.多くの人が訪れるため,手順はシステマチックである.土曜日だったらもっと混んでいるかと思ったが,全然待たなかった.それにしても御祈祷は前回の城南宮,地鎮祭に続いて3度目だが(毎年祭りには勿論参加しているが個人的という意味で)住所,名前,年齢まで述べて具体的にお願いするわけであるからとても明快で科学的?である.仏教の読経が何をいっているか分からない(そもそも舶来なので)のに比べると,和式は分かりやすい.

帰りはケーブルカーを使わずに山を下ってみたが,結構険しい.ケーブルカーを使わずに参ったなら,まさに天上の別世界に参った感じになり,有難味も増しただろう.パワーを感じる空間であった.





免疫革命:安保 徹

世界的な免疫学者である安保さんの著書である.たった1600円で人の一生を左右するような重要な情報が手に入る.本はつくづく安いと思わせる良書である.医療費の削減のために一家に一冊推薦したい.


この本は免疫学の最新の知見から病気の本当の原因はストレスであることを論証している.昔から「病は気から」,「心身を鍛えると病気が遠ざかる」などと言われてきたが,そんな経験則には科学的根拠がないと長年言われてきた.安保氏は人間の自律神経(交感神経と副交感神経)と白血球の働きの関係を明らかにすることで,上記の経験則に科学的根拠を与えたのである.本のほとんどは病気の原因を自律神経失調から読み解き,治癒の方法を示すことに費やされているが,自分は第5章の「病気と体調の謎とける免疫学」に特に興味を覚えた.

免疫学の始まりは19世紀後半ばに,感染症が微生物によって引き起こされること,一度感染して生き残った動物は,抵抗性を獲得することがあることをパスツールが発見したことにある.その後コッホ(結核菌の発見者)が,病気を再発しながらも軽症で治った動物や人の血清中に,その病気を予防する抗体ができていることを発見したのが大きな進歩となった.しかし,1960年代に胸腺や骨髄で作られるT細胞やB細胞などの免疫細胞が発見されるまで,リンパ球が関わる免疫の仕組みは活発に研究されなかった.免疫学は新しい学問であるだけに未だ定説を覆すような新たな発見が出続けている.

人間の治癒のために免疫学を追求するためには,人間の体の働きをシステム視することが重要と安保氏は説く.近年の医学はあまりにも専門化して分析に突き進んでいるため,細胞の働きについて新しい知見を得られるものの,病気がなぜ起こるか,なぜ治癒するのかという複雑なメカニズムには目がいかない.安保氏は人間の体の働きを読み解くためには  
1) 自律神経のメカニズム
2) 白血球のシステム
3) 代謝エネルギーのシステム
の理解が必要であると主張する.1)の自律神経とは,交感神経と副交感神経が織りなすシステムのことで,交感神経は身体の興奮を,副交感神経は身体のリラックスを司る.2)白血球のシステムとは,マクロファージという原初的な機能を持った細胞と,そこから進化して生まれた顆粒球(細菌への攻撃・分解を司る)リンパ球(免疫を司る)の働きの役割分担のことである.これら白血球の働きは自律神経に支配されているため,自律神経のバランスの乱れが,感染症だけでなくすべての病気が起こったり治ったりする過程に関わってくる.3)代謝とはエネルギーを消費・蓄積するシステム.過剰消費や過剰蓄積は身体の活動を破たんさせる.

人間の生活は日々細菌やウィルスなどの外来の病原や,ガン細胞など人間の代謝に由来する内部の異常細胞の発生に脅かされている.本来人間の一日の生活リズムの中で交感型神経と副交感型神経がゆるやかに交代する.交感型とは人間の昼の行動,例えば狩猟採取,労働などと関係する.身体は興奮状態になり,心拍が上がり,怪我により細菌感染が起きやすい状態である.副交感型は食事,睡眠,休息など,リラックスの状態と深く関わる.傷ついた身体を治癒するのにもリラックスが必要である.食事の消化過程においては,腸から細菌より小さな病原を取り込む危険性が高い.

白血球の原初形はマクロファージである.アメーバのような単細胞で異物を飲み込む.マクロファージは全身にくまなく分布している.白血球だけでなく,赤血球も血小板も,血管内細胞も実はマクロファージから進化している.

顆粒球はマクロファージの貪食性をさらに強めた細胞である.細菌を自らの膜で取り込み,活性酸素と酵素で分解してしまう.細菌は普通細胞の100分の1ぐらいの大きさである.顆粒球の増加は交感神経の状態下で起きる.先に述べたように,人間が活発に活動するときほど,ケガなどにより細菌が体内に侵入する可能性が高いからである.顆粒球が細菌を攻撃するときに発生させる活性酸素は,細菌だけでなく,周囲の細胞も傷めることになる.化膿という現象は顆粒球が細菌を処理した結果生じる.

リンパ球は細菌よりさらに小さな危険異物,たとえばウィルス,小さな微生物,細菌の出す毒素,消化酵素で分解された異種タンパク,空気中の危険微粒子,花粉,ダニの死骸などの異物に対応する.リンパ球は異物を貪食するのではなく,接着分子(インテグリン,セレクチン,免疫グロブリンなど)で凝集させる.さらにB細胞は抗体を出す.抗体とはリンパ球が抗原に対応するために膜にある接着分子を自分から切り離して外に放出したもので,タンパク分子である.こうしてB細胞自身がたどりつけないところにも,血管や体液中に抗体を巡らすことで異物に対応ができる.

リンパ球は普段は休止状態である.抗原が身体に入ってきたことを示すのはマクロファージで,サイトカイシンという高分子の伝達物質を介して情報を伝えることでリンパ球が活動を始める.インターフェロン,インターロイキン,TNFなど50種類以上の物質が今までに見つかっている.サイトカイシンはマクロファージから顆粒球,リンパ球同士の情報伝達にも使われる.マクロファージが異物の性質も見分け,細菌なら顆粒球が,ウィルスならリンパ球が活性化する.新しい抗原に対してはマクロファージが自分の持っているMHCと呼ばれるタンパク分子の溝に抗原を入れて抗原を提示し,これをヘルパーT細胞と呼ばれるリンパ球が認識し,B細胞に伝達する.B細胞はクローンを増やし抗原と戦う.リンパ球と抗原の戦いが終わると組織の残骸が残るが,これを片付けるのはマクロファージの仕事である.
マクロファージは免疫の基本である.通常白血球に占めるマクロファージ,顆粒球,リンパ球の割合はそれぞれ,5%,60%,35%である.顆粒球の割合が多いのは,それだけ必要とされる局面が多いからである.顆粒球は細菌との戦いで化膿性の炎症を起こして治癒するが,その過程は免疫性ではない.免疫はリンパ球の働きのみで発現する.リンパ球の炎症はカタル性といい,サラサラした漿液がたくさん出る.風邪のひきはじめに出る鼻水はこの成分である.また化膿せず赤く腫れ上がるフレグモネ性炎症も引き起こす.アレルギー炎症もリンパ球の働きによる.

人間は常に理想的なリズムで生活をしているわけではなく,無理をすることが多くある.興奮状態が続き,交感神経が過剰になると顆粒球が異常増殖し,体内の常在菌を攻撃して化膿性の炎症が発現しやすくなる.またリンパ球の活動が抑制されることで常在菌が活性化して粘膜などを侵す反応も起きる.顆粒球は新陳代謝の役割も担っているが,過剰に増えて新陳代謝が活発になると,古くなっていない細胞までを攻撃してしまう.顆粒球の寿命は二日ほどで,死ぬときにその核が壊れると細胞の中に入っていた活性酸素が放出されてまわりの組織を酸化する.胃潰瘍の原因はピロリ菌とする説が一時一世を風靡したが,ピロリ菌は胃にいる常在菌にすぎず,潰瘍が起きるメカニズムは交感型神経過剰による顆粒球の異常増殖であることを安保氏は証明している.

一方副交感型過剰によるリンパ球の増殖も過敏反応を引き起こす.リンパ球には様々な種類がある.マクロファージからの進化でもっとも近い性質を持っているのはNK(ナチュラル・キラー)細胞である.リンパ球の中で一番大きい.NK細胞の次に生れたのが胸腺外分化T細胞である.T細胞とは細胞性免疫を司る細胞のことで,抗体を放出するのではなく,自らが異物(抗原)のところまでいき,細胞ごと抗原と反応する.T細胞は胸腺(Thymus)で作られることにその名の由来があるが,安保氏は1990年に胸腺以外(肝臓や腸管上皮)でもT細胞が作られることを発見した.そしてNK細胞とこの胸腺外分化T細胞は外来抗原ではなく,身体の中の異常を監視している細胞だということを発見した.NK細胞やT細胞は体内の細胞に入り込んだ異物をレセプターで認識し,自分の細胞内にためこんである分解酵素を異物が入り込んだ細胞に振りかけて殺します.B細胞は鶏の肛門近くにあるファブリキウス嚢(Bursa of Fabricius)というところで発見されたのでBが冠されている.人間を含む哺乳動物にファブリキウス嚢はないので,多分骨髄でつくられていると考えられる.B細胞は自らが細胞のところにいくのではなく,レセプターのついている抗体を体液の中に放出する.液性免疫と呼ばれている.

T細胞とおなじようにB細胞も進化の過程でB-1a,B-1b,B-2と三段階で進化してきたと考えられる.進化の浅いB-1aは自己の内部異常に対する抗体,自己抗体を放出する.こうして見ていくと免疫は本来外来の異物ではなく,内部に生じた異常細胞を排除する役割から進化したと考えられる.

生物が水棲から陸棲になると,T細胞やB細胞といった進化したリンパ球を育てる胸腺や脊髄という器官ができた.生物が出会う抗原が格段に増えたからである.陸棲になったことで取り込める酸素の量が増大し,代謝も格段に活発になった.水に溶けている酸素は1%なのに対して空気中の20%が酸素である.動脈中の酸素濃度は約5倍になった.胸腺はもともとエラから進化している.エラが魚の時代には大量の抗原がぶつかってくる部位だったのでリンパ球がそこにたくさん存在した.水棲動物だったころ,リンパ球の95%は自己異常を発見する自己応答型のリンパ球だった.陸棲になったことでこれらの比率を格段に下げて外来抗原に対応するように生物は進化した.

がん,自己免疫疾患,加齢による障害,妊娠,細胞内寄生する原虫による感染症,臓器移植後のGHV病などはすべて古い免疫系と関わっている.これらの症状には自己免疫を産出する自己応答型のT細胞が対応している.古い免疫系は消化管のまわり,消化管から進化した肝臓,あとは外分泌線のまわりにある.そして子宮のような性器官のまわりにもある.なぜ消化のまわりに免疫系が発達したかというと,消化酵素が食べ物をアミノ酸のレベルまで分解していないからだと安保氏は考える.アミノ酸が数個かたまったペプチドは抗原となる可能性がある.

MHC(Major Histocompatibility Complex Antigen)は主要組織適合抗原と呼ばれる.これは抗原を提示するタンパク質だが,個人間でアミノ酸の配列に違いがある.個人間の遺伝子の違いをみると99.9%は同一だが,個人間でたった一つだけ異なるタンパク質をつくる遺伝子がある.これがMHCであり,臓器移植などで拒絶反応が起きる原因となっている.MHCはもっとも代謝の早いタンパク質で,私たちの細胞のすべてが持っているタンパク質である.拒絶反応を抑制することで,MHCの分布の少ない肝臓や腎臓は移植が可能だが,MHCの分布の多い皮膚やリンパ球の移入は難しい.

出生後胸腺は成長とともに20歳ぐらいまで重さを増してゆき,その後は加齢とともに退縮していく.歳をとると,リンパ節や脾臓も委縮を始める.すると若い時には細々と活動していた腸や肝臓,外分泌線のリンパ球が目を覚ましたように活発化する.加齢現象と関係なく胸腺が委縮するときがある.それは強いストレスがかかった時である.こうなるとまた古い免疫系が活発化する.歳をとると自己異常細胞が増えてくる(タンパク質の酸化,脂質の酸化)ので,これの排除のためには古い免疫系がしっかり仕事をする必要がある.
妊娠時も強い交感神経緊張状態になって胸腺が委縮する.すると古い免疫系が活発化するのだが,これが強すぎると妊娠中毒症になる.つねに細胞が増殖している場所にはがん細胞ができやすい.胎児はほぼガン細胞と同じ速さで成長していく.時たま胎児自身の細胞が母体に迷入して増殖する危険がある.これを防御しているのも古い免疫系である.

がんは無理(免疫抑制)がたたって起きる病気である.がんは多くの場合極度の交感神経緊張状態から,顆粒菌が自らの身体を痛め,その再生過程で活性酸素などにより遺伝子異常を起こして生まれてくるガン細胞の増殖に免疫が対応できないために起きる.現在ガンに対して行われている三大療法(手術,放射線,抗がん剤)ではがんは治らない.なぜならいずれの療法も免疫抑制をひきおこすから.交感型だった生活スタイルを副交感型に変え,免疫力を上げると,がんは自然治癒していく.普通食が食べられ,自宅で日常生活を送ることができる状態であれば治癒率は進行ガンで6-7割.悪性ガンでも免疫療法を行えば医者の宣告よりもずっと長生き.

熱が出たり,痛みがでたり,下痢をしたり,咳が出たりする症状は「つらい症状」だが,これこそが治癒のために必要なプロセスである.熱が出る,腫れあがる,発疹ができるということは,血流が増えていわば身体が燃えあがっている状態である.患部に血流を送って治癒を起こそうとしている身体の自然な反応なので逆に熱を奪ってしまうと治癒が起こらない.

対処療法とは,上記の「つらい症状」を緩和するものである.不快な症状が表面的,一時的にとれるため,患者は治ったと錯覚する.しかし実際の対処療法は治癒を遅らせる働きを持つため,慢性疾患に対する対処療法は危険である.治癒の反応を抑え込むことになるからである.腰痛などに用いられる消炎鎮痛剤も血行を抑制し患部を冷やすので「痛み」はとれる一方で治癒が遅れることになる.

人間はあまりゆっくりのんびりして過剰に副交感神経状態になってもやはり自律性を崩す.リン球が異常増殖し,アレルギー反応などを引き起こす.規律のない生活,過食などは過剰副交感型を引き起こす.二酸化炭素濃度が高いことも副交感過剰を引き起こす.温かい部屋で換気が悪いと,それだけで副交感型になるが,ほこりが貯まったり,湿気が籠ってカビが発生するとさらにアレルギー反応が助長される.

2010年1月14日木曜日

成果とは何か

成果とは何か,能力とは何か,こんなことを(怒りながら)学生に説明することが多い.だが定義を忘れることも多い.そんなことでは恰好悪いので備忘録

「効率が10倍アップする新・知的生産術,p.272」で勝間和代氏は成果を以下のように定義している.これは他人から見た自分の成果ではなく,自分にとっての自分の成果である.

 成果=知識(たくさんの情報を得て新しいことを学んだ事柄)×実行割合(その中から行動に着手した割合)×定着率(着手したもののうち,習慣として残った割合)

「生き方,p.95」で稲盛和夫氏は成果について以下のように定義している.稲盛氏は考え方を特に大事にする人である.そして熱意に関しては,愚直であることを推奨している.

  人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

よりよく生きていくためには「他人に重宝される便利な人間」(門司和彦氏)になることも大事.便利な人間とは自分にはない何かを与えてくれる人である.便利な人間になるためには,調査能力が特に大事だが,これにも二種類ある.自分で調べる力と人に聞く力である.実はこれは両輪で,人に聞くだけでは煙たがられる.いい質問は相手も育てる.というわけで人に聞く力を向上させるためには自分で調べる力も向上させる必要があるのである.
 
では能力とはなんだろう.自分なりに分解すると,経験+着想力だろうか.経験x熱意とも思えるが,これだと上の定義と重複が起きる.追々考えていこう.





 

2010年1月9日土曜日

マリス博士の奇想天外な人生:キャリー・マリス

動的平衡の福岡伸一さんの訳本ということで読んでみた。PCRの発明により1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリス博士の自伝というか随筆である。
キャリー博士は天真爛漫な天才であることを随所に感じさせてくれる。博士と呼ばれる人々は人間的にも尊敬されるべき良識的社会人であることを通常演じようとするが、キャリー博士は人生をEnjoyすること、生命の不思議を探求すること、自分の試論で世界を理解しようとすることに最重要価値を置いている裸の魂である。エイズの原因をHIVとする論を批判し、IPCCの温暖化研究を無駄とこき下ろす。再現検証可能なものこそが科学であるという潔いスタンスに立てば、Big Scienceへのこれらの批判も一つの論として正当であると納得させるものがある。アメリカにはこういう真の自由人を生み出すアカデミズムの土壌がある。そこがうらやましい。天才は勉強ができるのでなく、理解や創造のための勉強を愛するのだということを強く感じた。

2010年1月5日火曜日

newspedia

インドで風邪をもらったが,それ以外にもウィルスをもらった.newspediaというサイトが勝手に開く(インターネットエキスプローラーなど)ウィルスである.Symantecのセキュリティソフトを入れていたのに検知できなかった.いろいろ調べてみてフリーのウィルス対策ソフトを沢山入れるとどれかで当ることがわかった.

Malwarebytes' Anti-Malware - http://www.malwarebytes.org/mbam.php
SuperAntispyware - http://www.superantispyware.com/
AdAware - http://www.lavasoftusa.com/software/adaware/
Spybot Search & Destroy - http://www.safer-networking.org/en/index.html
Windows Defender - http://www.microsoft.com/windows/products/winfamily/defender/default.mspx

結局効いたのは2番目のSuperAntispywareだ.
ウェルス対策もソフトによって取りこぼしがあることが分かった.
それにしてもフリーで入れられるソフトの多さにびっくり.

2010年1月4日月曜日

今年の抱負

今年は前厄である.元旦に埠頭で大風の中釣りをしたら投げ釣りのおもり(他人の)が当って額が割れた.3日はタコが架線にからまって山陰本線に遅れが出て,連絡しそこねた.というわけで,年始からWarningが一杯である.


あまり欲張ってもしょうがないので,

1.怪我をしない(身体を作る).

2.1日2時間は勉強の時間を作る.

3.レビューの達人になる.

4.なんでもちょっと早めに.

5.身の回りでCO2排出を25%カット.


こんなところでしょうか.